第7章 グレイ scene5
コトリ、スマホをテーブルに置いた。
「もう、別れよう」
「和也…」
「翔さんだってキツイでしょ…?こんなのがずっと続くんだよ?」
「俺はっ…」
「共演者に女の子が加わるたびに、携帯チェックしてさ…惨めだよ…」
テーブルの上のスマホを翔さんは掴んだ。
「…惨め…」
じっとスマホを見つめていたかと思うと、立ち上がった。
「悪かったな。プライドの高いおまえにそんな思いさせてたなんて」
「翔さん…」
「わかったよ。別れる」
そう言うと、翔さんはリビングから出ていった。
あっけなかった。
ずっと、ずっと片思いしてた。
それが実ったのは5年前…
男が男を好きになるなんて気持ち悪い。
だからずっと隠してたけど…
翔さんも同じ気持ちだってわかったら、止めることはできなかった。
「違うよ…違うんだ翔さん…」
これ以上、あなたを苦しめたくない。
自分が男であるということが、こんなにも苦しいものだと思わなかった。
いつ、女に翔さんを奪われるのかビクビクして…
翔さんをガチガチに束縛して、縛り付けておかないと安心できなかった。
俺の作った牢獄に…これ以上翔さんを閉じ込めておくことはできないって思ったんだ…
「もっと…自由で居て…?もっと…あなたは…羽ばたくべきだ…」
俺が作った足かせは…あなたの邪魔にしかならない。
「もっと…笑ってよ…翔さん…」
付き合うようになって…笑わなくなったあなたを…
もう閉じ込めることはできない