第7章 グレイ scene5
いつも、見てた。
「翔ちゃん!今日、すっごく良かったよ!」
あなたの背中を。
「俺にはできない大役だからね…俺、ほんと翔ちゃんのこと凄いと思う!」
だから、追いつきたくて。
「ほんと頑張りやさんだね。俺も頑張るよ!」
褒めてもらいたくて…
あなたは俺の、原動力。
生放送のニュース番組が終わって、楽屋に入るとスマホを真っ先に手に取る。
”今日もおつかれ!かっこよかったよ!”
相変わらず、句読点も改行もないメッセ。
”ありがとう。今日も見てくれたんだね”
「櫻井さん、今日はすぐ反省会だそうです」
楽屋にマネが呼びに来てくれるまで、メッセの交換をする。
”じゃあ、また明日”
たったこれだけなのに。
眠いけど、頑張れる。
家に帰ると、留守電のランプが点滅してた。
スマホを持つようになったら、ほとんど鳴ったためしがない家電。
「誰だ…?」
イタ電かとも思ったけど、念のためメッセージを再生してみた。
『しょうちゃああん?まだお家帰ってないのおお!?』
「えっ!?智くん!?」
『俺、今、ふーちゃんと飲んでるんだあ!場所はね』
ピーッとそこでメッセージは途切れてた。
「あちゃあ…」
ありゃあ、相当酔っ払ってるな…