第7章 グレイ scene5
電話に出た表示…
”松岡昌宏”
「出てあげたら?」
「今、運転中…」
「そう…代わりに出てあげようか?」
「…いいよ。用件、聞いといて」
和也は俺を見たまま、ゆっくりとスマホの画面をスワイプした。
「もしもし…?」
暫くなにかやりとりしていたが、すぐに通話は終わった。
「なんだって?」
「ああ…なんか、今飲んでるから来いって」
「断ったんだろ?」
「うん…」
和也からスマホを取り上げると、後部座席に放り投げた。
「断って…良かったの…?」
「何言ってんだよ…いいに決まってんだろ?」
「でも……付き合ってたんでしょ?」
「…昔の話だよ…」
和也は外を見たままこちらを向かない。
「和也…」
頑なに、外を見たまま返事もなかった。
ウインカーも出さずに路肩に停まると、シートベルトを外して和也を抱き寄せた。
「翔…」
「俺のこと、信用できないか…」
「ちがう…」
「今を…見てくれ…」
「…え…?」
「俺には…おまえしか居ない…」
和也の白い肌が、薄く赤く染まる。
「翔っ…ああ…もっと、もっと俺にちょうだいっ…」
「和也…愛してる…」
繋がった部分から漏れ聞こえる音―――
俺達の愛の音…