第7章 グレイ scene5
京都、太秦―――
底冷えのする夜だった。
「はぁ…」
息を指先に掛けて温めるけど、すぐに悴んでしまう。
夜の撮影所は、しんとしてる。
けどスタジオの中はきっと熱い空気なんだろうな…
時々、時代劇の人たちが衣装をつけたまま通っていってびっくりする。
そうだよね…ここはそういう撮影所だもん…
ひと目。
そう、ひと目見たかった。
和也のお侍さんの姿…
なんか、CMの撮影らしいんだけど。
今回のはセットも野外のを使いたいとかで、わざわざ太秦で特別に撮影されてる。
今は、スタジオの中で触りの部分を撮ってるはず。
偶然なんだけど、俺はこの時期なんだけど長期の休みを貰ってて。
正月もその後も、お正月休み取れなかったから…
「さむっ…」
でも和也は今年は勝負の年だからって、長期休みを貰ってない。
去年、アカデミー主演男優賞を貰った和也は、去年も今年も映画の予定が入ってる。
だから、今のうちにCMとかはやれるだけやっておくってことだった。
で、俺は休みをどう使おうか悩んだ。
海外に行っちゃうと、和也の顔見れないし…
でも和也は仕事。
どうしようかなって思ってたら、CMの仕事で和也が京都に行くって聞いた。
これは、チャンス。
早速、和也には内緒でマネージャーに確認して、京都行きの手配をした。