第7章 グレイ scene5
「そうですよお~?”俺今度引っ越すから、ニノも一緒に住めや!”って言ったのはあなたでしょう?」
ま、これも嘘だけどね。
「は?俺が?なんでそんなこと言うんだよ」
「え…じゃあ、あの夜言ったこと、覚えてないの?」
「あの夜…?」
そう…あの夜。
ま、覚えてないのはわかってるんだけどね。
でも俺は…
忘れられない
「ニノぉ…」
「んもう、なぁによお…」
福岡の最終日の前の晩。
ホテルの大野さんの部屋で飲んでた。
他のメンバーは潰れちゃって先に部屋に帰っていったけど、俺と大野さんは飲み比べになってた。
向かい合わせに床に座って、焼酎を割りながら意地になってた。
俺は弱いから、勝負にならないのはわかってたんだけど、この日は大野さん、回るの早かったんだよね。
「も、ギブ…」
「え。マジで?」
「だめだ…うぷ…」
ゲップしながら床にへたり込んだ。
「ちょっとお…だいじょうぶぅ~…?」
俺ももう足元が定かじゃなかったけど、倒れる大野さんに近寄っていったら、突然腕を引かれた。
「わあっ…」
大野さんの上に覆いかぶさるように倒れたら、ぎゅうっと抱きしめられた。
「なっ…なにしてんのよおっ…」
「あ~…人肌、久しぶり…」
「や、やめてよ。そういうの女にしなよ」
「だって…ニノが居るんだもん」
「はあ?」
「だっておまえ…そこいらに居る女よりかわいい…」
「ちょ、やっ…」
ぐるんっと身体をひっくり返されて、床に押し倒された。
「ほんとに…かわいい…」
見たことない顔してた
男の…顔…
「やっ…やめてっ…」
「ニノ…」
大野さんの顔が首筋に埋まった。
かと思ったら、大野さんはそのまま寝た。