第6章 ショコラ scene4
「下女だ…下女だった女の子だ…」
頭の中を引っ掻き回されたような頭痛がする。
きっとこれは、術者の記憶だ。
ニノと潤の姿は、次の間から消えていた。
ふすまの下には、まだ行長先生が倒れている。
奥様の姿は見えなかった。
ちゃぶ台の周りに、事務所の人間も倒れていた。
「雅紀…?」
身体を起こすと、雅紀の姿も智くんの姿も見えない。
「どこいったんだ…?」
周りはシンとして音も聞こえない。
慌てて行長先生に駆け寄ると、ふすまをずらした。
「先生っ…行長先生!」
うつ伏せになっている肩を揺すると、先生はうっすらと目を開けた。
「行長先生っ…」
先生は俺を見ると、少し怯えた顔をした。
「なん…?なにがあったん…?」
「え…?」
誰だこれ
表情も、声も先生のものなのに先生じゃない。
「もしかして…純一郎さん?」
「はい…一体何が…?」
おどおどと周りを見渡すと、泣きそうな顔になった。
「…純一郎さん!下女の…下女の女の子は覚えていますか!?」
その時、庭先で大きな音が響いた。
振り返ると、次の間の客間とは反対にある廊下の向こうの庭が全開で見えた。
ふすまもガラス戸も見事に庭に倒れてる。
「え…?下女…?」
「お願いします!あなたが頼りなんだ…!」