第6章 ショコラ scene4
「…辛いものを…見てしまうかもしれません」
先生も表情が硬い。
この二人には、俺には到底見えない世界が見えている。
あの”人ではなくなった”ものを見てしまった後から智くんは、口数が減っていた。
「邪魔に…ならないようにします。だから…お願いします」
智くんは畳に額を擦りつけて先生に頭を下げた。
「ここに…潤の傍に居させてください」
「智…」
ニノはそんな智くんの背中に手をおいて、やはり硬い表情をしている。
「先生、俺も…居たい」
「雅紀…」
「なにか…俺達にならできること、あるかもしれないから…」
先生はため息をひとつ付くと、奥様の顔を見た。
奥様はにっこりと頷いた。
「では…絶対に客間には呼ばれるまで入らないこと。もしも松本さんが戻ってきたら、皆さんにはして頂くことがあるかもしれませんので、待機してもらっていいですか?」
「はい…はいっ…ありがとうございます!」
ご家族は泣きながら帰っていった…
それなのに俺達が残ってもいいんだろうか。
「翔ちゃん…」
雅紀が俺の手を握ってきた。
「俺達にしかできないこと、あるはずだから」
「雅紀…」
潤は、この間ずっと眠り続けていた