第26章 及川/及川さんはかっこいい?*イベント小説★R18なし
あれから数分で、体育館は
及川さん目当ての女子で
いっぱいいっぱいになった。
(多いなぁ…)
私は、後ろの方に追いやられ
全然及川さんが見えない…。
「もう!貴女うっとおしい!
見えないじゃん!どけて!」
ガンッ と音がしたのは
私の頭から。
押し飛ばされて
壁に当たったらしい。
ズキズキするなぁ…。
(あぁ…泣きそう)
ただ及川さんを見に来ただけ
なんだけどなぁ…。
すると、ガゴン!と音がした。
女子が集まる場所の壁近くに
バレーボールが転がっていた。
「…す…すご〜い!及川さん!
めっちゃ早い!さすがっ!」
さっき、押し飛ばした人が
叫ぶと、皆も続いて凄い凄いと
野次を飛ばす。
「うるっせぇなぁ…」
そんな鶴の一声で黄色い声が
ピタリと止む。
「そこで今その横たわってる
可愛い子を押し飛ばした
クソブサイクな子 誰?」
「えっ…わたし…?」
「そう、お前、ふざけんなよ
その子オレの大好きな人だから
怪我させたら許さねぇぞ?」
鬼の形相だ…。
及川さんが、怒ってる…てか
私の事…好きって…え?
「名前ちゃん!!!」
「は、はい!!」
思わず立ち上がり返事をする。
人が私を見るために後ろを振り返ることで
1本の道のようなものができた。
「オレさぁ!名前ちゃんの事
大好き!!!だから…
つきあってくださあああい!!!」
公開告白…そこまでしてくれるんだ。
私は及川さんの元へ駆け寄る。
「よろしくお願いします」
そうつぶやくと、ブワッと
嬉しそうな表情に変わり、
優しくしっかりと抱きしめられた。
(私…みんなにいじめられますかね?)
(俺がそんな事させない!)
(まじで守ってやれよ 及川)
(わかってるって〜♪
でも岩ちゃんが応援なんて珍しい)
(…覚えてねぇんだ?コイツ
同じ幼稚園だった奴だよ)
(え…名前ちゃん…知ってた?)
(会ったとき…あぁ、あの
とおるお兄ちゃんだったのかぁ…と)
(言ってよ?!?!)
(だって…ねぇ?)
(なぁ?)
(なんで2人で意思疎通してんの〜!!!)