第17章 及川/嫌い*イベント小説
「大好きだよ 名前ちゃん!」
「そうですか
大嫌いです 及川先輩」
「ひどっ!!!」
私は、1年の苗字名前。
始めに理っておくけど、
私はバレー部でもなければ
マネージャーでもない。
私は美術部だし、先輩との交流なんて
先輩が落とした筆箱を私が
拾った時ぐらいだ。
「だぁかぁらぁ!
俺はそん時に惚れちゃったんだってばぁ!
付き合お?ね?」
「先輩、教室でそういう事
言うのやめてもらっていいですか
貴方のせいで 女子生徒からの
苦情が殺到しているんです」
えっ?!と驚き、周りを見渡すと
女子の少し冷ややかな目線が
こちらに向かっている。
最近いじめが多いのはきっと…
いや絶対、及川徹 この人のせい。
ただ、憎んでないし
はっきり言って、いじめられる
敬意がわからない。
「ちょ、こっち来てっ!!」
腕を引かれ連れてこられたのは、
バレー部の部室。
流石に誰もいないし、静かだった。
「ごめん!俺のせいで!
ほんとうにごめん!」
申し訳なさげに頭を深々と下げ、
謝ってくる。
「先輩…あの」
戸惑う私の肩をガッと掴み、
前後に揺すぶる。
「怪我ない?!殴られたとか
そういうの無い?!蹴られたとか!」
「大丈夫…です 悪口とか
そういうのばかりですから」
俺も迂闊だったと、座り込み
どうしよう どうしようと頭を
抱えている。
「もう、大丈夫なんで
私あまり気にしない人ですし」
そう?と上目で見つめられる。
私は、及川先輩が落ち着くまで、
隣に座って背中を摩っていた。
やっと落ち着いた及川先輩は、
ありがとう と微笑み、
少し間が空いて ぼそりと呟いた。
「今…ここには2人きり…」
そう聞こえたや否や、
私は天井を見ていた。
視界に及川先輩が映る。
押し倒された…?
少し状況整理が必要だった。