【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】
第1章 兵庫水軍との邂逅
目下では鮫の血に染まる海の中でまだ重が呆然としていた。
俺…生きてるのか…。
一体何が―
途端。先程の麻言の微笑を思い出す。
はっと気づいた。
あいつ、海に沈んだまま浮かんでこないっ。
「―っやばい!!」
そう言って重が潜水しようとした時だった。
周囲でドボンドボンっと二つ分の水飛沫が上がったのだ。
「っおい!何やってんだ重っ」
一人目は義丸だった。
潜ろうと足掻き出す重を無理やり抱え込む。
「義丸の兄貴…っ!あいつが…っ!
あいつが沈んだまま、上がって来ないんです!!」
「―重っ」
ピンと張り詰めるような声に重は
思わず振り返る。二人目は舳丸だったのだ。
その声にはいつもの冷静さを取り戻していた。
「私が連れてくる。お前は船に戻ってろ。
義丸の兄貴…すみませんが、お願いします」
「おうよっ、任せろ」
歯を見せて笑った義丸が、親指を立てて見せた。