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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第1章 兵庫水軍との邂逅



第一話「漂流者と海賊」



兵庫水軍の海では今日も鴎(かもめ)達が渦の様に旋回していた。
太陽はちょうど真ん中まで上り、空と海を照らすように晴れ間が広がっている。

「お頭っ、南南西異常ありません!」
「同じく、南南東異常ありませんっ!」

海上パトロールの途中である兵庫水軍の船上から水夫達からの次々報告の声が上がった。
そして、海の中からは水練である舳丸と重が顔をだすと
「海中異常なしですっ」
「右に同じっ」

彼らの報告を受けた、お頭である兵庫第三協栄丸は神妙な顔つきから相好を崩し
「おうっ、ご苦労っ」と労いの声を掛けた。
「良かったっすね、お頭ぁっ。今日は鮫の野郎がいなくってっ!」

と先程までの緊張感を解くように疾風が言うと、おうっと返事を返した。

「だが、油断はするなよ。ーおめぇらっ!鮫のヒレ一つでも見逃すんじゃねーぞ!何か見つけたらすぐい――「あっ!! ありゃ何だっ……!?」

兵庫第三協栄丸が言い終わる前に北西の方を張っていた由良四郎が驚きの声を上げる。
一人ずっこける兵庫第三協栄丸を置いて、疾風が由良四郎の元へ飛んでいった。

「何ぃっ! 鮫かっ!?」
「い、いやあっそれが違うんです……!」

由良四郎が言い終わる前に疾風は彼が持っていた遠眼鏡をひったくると覗き込んだ。

「――あっ!何だありゃぁっ……!?」
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