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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】




「麻言はあんまりあいつを甘やかすなよ。大体好き嫌いが多すぎるんだからよ、網問は」
「まあまあ、確かに。でも、不思議と網問って憎めないよねえ」
「あ~、まあ、それは解る」

ああいうのをムードメーカーって奴なんだろうかな。そのくせ抜け目ねえけど。

「俺と網問って、悪友みたいなもんだけどいっつもあいつは容量よく、逃げやがって怒られるのは俺ばっかりなんだよなぁ」
「あははっ、確かに何でもやることが利口だもんね」
「おっ? そりゃあ、俺がそうじゃねえって言いてえのか」
「ええっ!? ちっ、違うよ! そういう意味じゃ……」
「解ってるって! 冗談だよっ、冗談っ」

ゲラゲラ笑って俺がそう言えば、麻言が少し口を尖らせる。
しっかし、最初来た頃に比べて麻言は本当に表情がコロコロとよく変わるようになったよな。
のんびりした口調は変わらなかったが、表情の起伏が少なくて初期は淡々とした印象だった。
いまじゃあ、まあ歳は解らねえけど、見た目相応になったって感じだろうか。
途中休憩していると、麻言がお茶を持ってきてくれた。
「有難うな」と受け取って、俺は一気に飲み干す。

「はい、後これ」
「ん? こりゃ何だ」
「手ぬぐいを井戸水で濡らしてきたんだよ。汗すごいよ、航」

そういうと、麻言が持ってきた手ぬぐいを半分折にして俺の額を拭き始めた。
思わず固まる。
やべえ、何かコレあれだ。夫婦みてえ。
健気に俺の汗を拭き続ける麻言に見入っていると、不意に麻言が俺の腕の方に注目しだした。
今俺の腕は農作業の邪魔にならねえように、着物の袖を捲くっていてむき出しの状態だ。
何見てるんだ――
と、話しかけるはずだった。
麻言がその柔らかい掌で俺の二の腕を撫でる、までは。

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