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【忍たま乱太郎】~空蝉物語~【兵庫水軍中心トリップ逆ハー】

第2章 忍術学園での邂逅【幼虫編】



そういう経緯があって、こいつは男装してたのか。
ふてぇ野郎から老夫婦が麻言を守るために。
……本当に、愛されてるんだな。
そして、麻言自身もどれだけ二人に感謝し大事に思っているか、今の話で解る。
――しかし。

「にしても男に対して、警戒がないのは今も変わらねえのか」
苦笑混じりに俺が呟くと、
「ん、何か言った? 東南風」
「なんでもねぇ」
ついにべもなく、俺は返した。

海に着くと、何となしに気持ちが落ち着く。
やっぱり俺も根っからの海賊という事なんだろうな。
麻言が俺の手から鍬を受け取ると、「ありがとう」と笑顔で一言。

「気にすんな。……後、言っておくことがある」

きょとんと眼鏡越しの麻言の大きな瞳が更に見開かれる。

「お前は――もう少し、周りを頼れ」
「え……、頼ってる、よ?」
「ちげぇよ。それは、ここの連中は何かと世話を焼きたがる奴が多いからお前は“その好意を受けているだけ”だ。俺が言いてぇのは、“お前が望んでいる事を相手に伝えろ”って意味だ。言わなきゃ解かんねえ事だってある」

俺には珍しく、長々と諭すようにそう言い終えた。
が、伝わっていないのか、眉根を寄せて麻言が首を傾げたのだ。
頭が痛い。

「うん? だから頼ってるよ」
「どこかだ――」
「“だから”さっき、東南風に話をきいてもらったんだよ。東南風なら、何も言わず聞いてくれると思って――」

思わぬ不意打ちに、俺は目を見開いた。
何だと? 気づかずに頼られていたのか、俺は。

「ふふふ、東南風だって何だかんだで僕に甘いよ。……確かに、僕は上手く言葉に出来ない事の方が正直多いと思うけど、もうちょっと信頼してほしいなあ」
「あ、否、その……」

戸惑い、顔に熱がこもる。
居た堪れない。信頼して欲しいと思っていたが、俺のほうがこいつを信じてなかったのか。

「東南風、有難う。いつも頼らせてくれて」

途端、今度は別の意味で顔が熱くなった。

「おう……」

だが、これ以上格好の悪いところは何故か見られたくなくて、一言で返す。
こんなに自分の感情が乱れるのは久々な気がした。
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