第29章 ねんまつねんし、再。〜第三体育館組、全員集合〜
差し込む光で目を覚ますと、久しぶりに背中に熱が灯る。
お風呂でのぼせたとついた嘘のおかげで、わたしの部屋で寝る権利を得たリエーフが隣で寝息を立てるのを少しだけ見つめると、そっとベッドから抜け出す。
ポットのスイッチを押し洗顔に向かえば小さな電子音。先に洗面所を使ってる人がいるようで、ドアをノックすれば中から声が聞こえた。
遠慮なく中に入ればしっかりといつもの寝癖のついたクロがこちらを向き、目が合った。
「あらー、昨日ダウンした美優チャンじゃないですの。体調大丈夫?」
『うるさい寝癖野郎。』
ひげを剃りながらにやけた顔を向ける姿にイラついてこちらからもパンチを仕掛けると、いつもの不細工な笑い声が漏れる。
「んで、今日の朝メシは?」
『朝は昨日買ったパンが食べたいから洋食予定。クロは京治と莉奈ちゃんのお迎えでしょ?お使い頼みたいんだけどいい?』
「へいへい仰せのままにー。」
髪を束ね泡タイプの洗顔料で顔を洗っていく。泡を濯ぎ顔を拭くと、化粧水や乳液を顔に叩き込んでいく。その合間に髭剃りを終えたらしいクロが場所を変われとせっついてくる。
「俺も顔洗うんですけどー。」
『あと30秒もあれば終わるから待って。』
せっつく肘を押し返しながら日焼け止め入りの下地を塗り込めば、後ろで待っているクロに場所を空ける。
「顔洗ったら手伝うわ、あとコーヒーよろしく。」
『さっきポットのスイッチいれてきたからそろそろお湯沸くと思うよ。ブラックでいいでしょ。』
「ん、目ぇ覚ますためにブラックで頼む。」
『了解。もう注いじゃうから早めに来てね。』
クロの返事を背後に聞きながら冷たい廊下を戻るとマグカップ2つにコーヒーを淹れる。そして後から作った方を飲みながら朝ごはんの準備のために冷蔵庫に手をかけたのだった。