【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第6章 それぞれの過去
嗚咽を漏らながらひとしきり泣いて落ち着くと
少し恥ずかしそうに「ありがとうございます」と顔を上げた。
「もうこの時点で俺は死んでしまってもおかしくなかった。
それでも奥さんが心配で、どうにか山に戻ったんです。」
そう言った紅夜の目線の先にはフラフラで血まみれの狐、紅夜。
「ご主人を助けられなかった。
むしろこのまま死んでしまいたかった。
それでも奥さんが山小屋に1人なのを思い出したんです。」
フラフラの紅夜のあとを追って辿りついたのはふたりが暮らしていた山小屋。
の、はずだった。
そこにあったのは小屋『だったもの』。
そこらじゅうに衣類などが散乱していて
小屋も跡形もなく壊されてしまい、ただの木の板と化してしまっていた。
「よく考えれば政府の人間が、
ほかの人間は居ないか、どこで暮らしていたのか調べに来るのは当たり前のことでした。」
血まみれの紅夜はその小屋だったものを見て、ついに崩れ落ちた。