【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第6章 それぞれの過去
「・・・俺から、話しても
・・・いいですか?」
そっと手を挙げたのは紅夜。
紅夜が人間嫌いな理由
紫雨と出会ったきっかけ
紫雨と出会うまで
何も知らない。
「これは、知ってると思いますけど
俺は、人間が嫌いです。
嫌いになった理由から、話していきますね。」
そう言うと紅夜の目が金に光る。
「お見せしながら話します。
最後まで妖力が持てば・・・ですけど・・・。」
屋敷の和室に居たはずが、
途端に辺りは山の中、獣道になる。
「ここが、俺の生まれ育った場所です。
20年ほど、ここに住んでいました。」
無意識なのか、幻術を使ったと同時に
紅夜は目だけでなく姿も狐に戻った。
こっちです、と、4足で前を歩いていく。
しばらく、30分ほど山の中の獣道をかき分けて進むと(といっても幻術なのでその場からは少しも動いていないのだが)
そこには成熟した狐が1匹、
その周りに4匹の小狐いた。
狐は生まれて3~5ヶ月で巣穴から出る。
1ヶ月ほど母親から狩りを教わり、巣立つのだ。
親の方は5,6歳、子供の方は3ヶ月、
巣穴から出てすぐと言ったところだろう。
紅夜はその子供の中の1匹をさして
「あれが俺です。」
と微笑む。
幸せな記憶なのだろう。