【おそ松さん】もう二度と恋しないなんて言わないで【過去編】
第1章 とある山の一角にて
「んんーっ!
今日は良い天気じゃのう。」
こんな山奥では人目もない。
本来の姿———と言っても人型に耳と尻尾が生えているだけだが―――に戻り
落ち葉に寝転がって伸びをする。
夏を過ぎ、山も赤く色付きだした。
風と太陽のバランスが絶妙にいい。
体を包み込むようなぽかぽかとした気候に
ついうたた寝をしてしまいたくなる。
「ふあ・・・いかんいかん・・・」
と言っても私はこの山の長。
どっかの妖怪が攻め込みでもしてこなければ
することなんてない。
「ちょっと、だけ・・・」
元々夜行性だ。
昼間は眠い。
落ち葉の上は冷たいので
自分に生えた9本の尻尾———本来空狐には尻尾はないとされているがなくすのは惜しくて残した―――の上に丸くなる。
途端、今まで堪えていた眠気に急激に襲われる。
心地いい。
私は眠気と心地よさに身を任せ、意識を深いところに落とした。