第2章 ここはどこですか?
その時不意に、ふっと影が差した。
少年「あ・・・・・・」
なびく漆黒の黒髪に、きらきらと降り注ぐ月の光。
萩はここに来た時に見た舞散る桜の花びらを思い出した
(そういえばあの時私を呼んだのは誰?)
萩が考え事ををしていると
???「運の無い奴だ」
静かで冷たい声音。星明りに照らさし出された端整な顔。
彼の瞳を見ていると怒っているような困っているような、人間らしい感情の揺らめぎをのぞかしていた。
???「いいか、逃げるなよ。背を向ければ斬る」
少年はこくこくうなずいていた。
すると彼は思いっきり眉間にシワを寄せて、苦々しげに深いため息をはいたのだった。
今度はこちらに振り向き
???「お前は何者だ?」
萩「え!!私はただのとうりすがりの物です!!」
???「そんな訳ねえだろう!!」
総司「そーだよ、ただの可愛い女の子があいつらを素手で倒せる訳無いでしょ?」
???「素手で!!」
斎藤「はい、見た所外傷は無いのに心臓は止まっています」
???「何をした?どうやってあいつらを倒したんだ」
萩「えっと、大きな道を歩いてたら物凄い殺気を感じて裏路地をのぞき込んだら、少年に襲い掛かろうしてる男を見つけて・・・」
チラッと少年を見るとこくこくうなずいている。
萩「それで少年を突き飛ばして男の攻撃を避けながら隙を探して思いっきり心臓に掌底を当てました!!」
にこにこして萩は答えた
???「・・・そうか・・・なるほど」
そう言うと刀を収めてしまった。
沖田「あれ?いいんですか、土方さんこの子達さっきの見ちゃったんですよ?」
総司が不思議そうに目を細めると、土方と呼ばれた男はますます渋い顔をする。
土方「・・・いちいち余計なことしゃべるんじゃねえよ。下手な話を聞かせると、始末せざるを得なくなるだろうが」
(もしかしてこの可愛い少年は千鶴ちゃん?でこれから私たちは新選組に連れてかれるのかな?)
そんな事を萩が考えていると
沖田「この子達を生かしておいても、厄介な事にしかならないと思いますけどね」
ちらりとこちらに目を向けた総司の瞳は心を読んだような発言をする。
(わー、怖いなぁー、余計な事考えないようにしないと)