With Live Planet _この星で生きる_
第11章 愛は狂気に、憎しみは殺意に
「ワン、行くよ……」
惨めな私を置いて、みんなは廊下を歩いて行こうとした。
そんな中、ワンだけは私の元に戻ってきた。
「このハンカチ…どうぞ⁇」
先ほどとは違い、とても優しい顔で私にハンカチを渡してきた。
「ワン、そんな奴ほっといていいとおもうけど?」
「あ…でも痛そうなのでっ!」
そう言って私に顔をぐっと近づけると、口角を上げてにたっと笑った。
「ーバイバイ、アマテラスさん?」
クスッと笑ったワンはまた優しい顔になってから彼らの元に戻り、今度こそ行ってしまった。
私は彼女の一言でなにかが吹っ切れた。
手紙だった紙切れを全て拾い、躊躇なくゴミ箱へ捨てた。
痛む身体は何故だかとても軽く思える。
信じていたかったものは脆く崩れて、残ったのは絶望と闇だけだ。
この感情を私は知っている……。
やっぱり私なんかが英雄になれるはずがなかったんだ。
だって私はアマテラスではなく、人類を滅ぼした久佐螺 花凛なのだから。
私は自室へと向かい、軍服を脱ぐ。
もう一度風呂に入り、血を洗い流してからTシャツ、ホットパンツにフード付きの黒いコートを羽織る。
靴も普通のスニーカーに履き直す。
ショルダーバックには飲み物、衣服、私専用の武器を詰めた。
ここは私のいるべきところじゃない。
自分が使っていた消耗品は全て捨て、部屋に残っているとは毛布と綺麗にたたみ直した軍服。そして、備え付けてあった家具だけだ。
フードを深く被ろうとした時に長い髪が邪魔だったので、短剣で肩くらいまで切ってしまった。
扉を開け、廊下を見ればあたりには誰もいない。
早歩きで歩くと、誰にも見つからずに一番奥の転移装置に着くことができた。
私が知っているのはガイア様の部屋と、アトリ村までのナンバーだけだ。
アトリ村から何処か遠いところへ行こう
ここに2度と戻ってこないと決めて私は転移装置の中に入った。