• テキストサイズ

【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第2章 ある娼婦と海賊のはなし ~ゾロ編~




別に女などいなくていい。
だが、いたって構わない。


その時、ゾロが取った行動は、あくまで“気まぐれ”の類だった。



「おい・・・あの女の値段は?」

「お客さん、あの子は昼間っからぶっ通しで客の相手をしていたんだ。あんたを満足させられる働きができるかどうか」

「いくらだ?」

引き下がる様子のないゾロに、店主はいよいよ困った顔をした。


店にはまだ、客をとっていない娼婦がたくさんいる。

“使用済み”の娼婦には高い値段をつけられない上に、彼女はこの町を縄張りとしているギャングの馴染み。

面倒事には巻き込まれたくないが、目の前にいる緑色の髪をした男も見るからに凶悪そうだ。

店主は迷った挙句、大きくため息を吐いた。


「そんなに言うなら・・・宿代込みで2万ベリーだ」


女が体を売る値段とは思えないほどの安さに、ゾロの眉間に深いシワが寄る。
娼婦はまだカウンターの端で項垂れたままだ。
ゾロと店主の会話が聞こえていないのだろうか、それとも愛想をふりまく気力すらないのか。

いずれにせよ、憔悴しきっているのは明らかだった。


「・・・2万、でいいんだな?」

「その代わり満足させられる保証はねェし、前の客が出したモンもまだ“中”に残ってるだろう。それでも良けりゃ、好きにすればいい」

「ああ、構わねェ」


ゾロはビールを一気に飲み干してから、2万ベリーに酒代を上乗せし、カウンターの上に置いた。
すると、店主は憐れな娼婦に向かって叫ぶ。


「おい、クレイオ! 客だ!!」


娼婦はゆっくりと顔を上げると、自分を“買った”剣士を絶望的な瞳で見つめた。





/ 1059ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp