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【ONE PIECE】ひとつなぎの物語

第4章 真夏の夜の夢(ルフィ)




「ふたこぶ山・・・」


そこがいったいどこなのか、少年には知る由もない。
もしかしたらとても遠い場所かもしれないのに、彼は何も聞かずに頷く。

そして、ひょいっと床に飛び降りた。


「よし、行こう!」


白い寝間着を着ているクレイオの手を取り、ニコリと笑う。


「本当に・・・ルフィかい?」
「ああ、そうだぞ。まだ寝ぼけてんのか、クレイオ」
「だけど・・・まさか、本当に約束を果たしにくるとは思わなかったからね」

すると、ルフィはクレイオを抱き上げながら変な顔をした。

「何言ってんだ。おれは守れねェ約束はしないぞ」

「・・・・・・・・・・・・」

この腕の感触・・・とても夢とは思えない。
ルフィは本当に戻ってきてくれたんだ。

「・・・そうだね・・・」


ああ・・・
この温かくて優しい気持ちは、いったいなんだろう。


「あと、サンジがクレイオのために作ってくれた弁当も持ってきたからな。おれが食っちまった分だ」

見れば、窓の下には大きな包みが置いてある。
それ全てが弁当だとしたら、クレイオが食べきるには1週間はかかりそうだ。


「よし! ふたこぶ山に行くぞ!」


ルフィはクレイオを左腕で抱きかかえ、窓辺に立った。

頭上に広がる、雲一つない夜空。
その星一つ一つをいっそう輝かせている、大きな満月。

海賊は老婆に向かって微笑みかけた。


「しっかりつかまってろよ」


次の瞬間、ルフィの右腕は近くの大木に向かって大きく伸びていた。


翼を持たない人間には空を飛ぶことができないなどと、いったい誰が決めたのだろう。

彼はゴムの反動を利用し、まるで鷹のように星空へと飛び立った。







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