第20章 SHEPHERD’S PURSE
ー4週間後ー
私はあれから無事退院し、普段通りに仕事をこなす毎日。
他のみんなとは会う事も連絡する事もない。
いや、社長以外はだけど。
だからだろう、毎日出勤前に掛かってくる電話。
特に用事も無いはずなのにメールではなく必ず電話だった。
『うん、わかってる。
気をつけてね、はいはい、またね』
午後7時。
残業の合間に取る電話は私の息抜きになっていた。
今から出勤だと言うゾロからの電話。
マメそうには見えなかったから本当、意外な一面。
心配性で必ず社長の事を訪ねてくるが、大切に思われていると実感出来るので私的には嬉しかった。
「顔がダラけきってるぞ」
ニヤケていたのだろう。
ハッと表情を改める。
「ほら、ボアが呼んでる。後は、任せた」
足早に去って行く社長に頭を下げ見送り、ハンコックの元へ戻る。
今日は、ハンコックの会社との会食だった。
無事、会食も終わりこの後はいつも通りにルフィの所に行くハンコックのお供役だ。
あっ、ゾロに伝え忘れた。
まぁ、いいか・・
ハンコックとの会食と伝えている。
来るかもと思ってるかもしれない。
「わらわの都合での退院祝い出来なくて悪かったのう。
今宵は幾分にも楽しめ」
『私も直後は色々と忙しかったので逆に今日で良かったよ』
入院中、ちょっとした雑務はこなしていたが、やはり退院後は溜まった仕事を元の量に戻すまでに一苦労した。
何かと休日出勤も重なり、明日は土曜でやっとまともに休める。
ゾロのいる店にも行く暇無くあの日行ったきりで久々だし、ゾロに会うさえ退院した日以来だ。
逢える!
そう思うと気持ちに浮き立ち立つ気持ちを抑える事が出来そうになかった。