第22章 圧される
「それでさー。さっきの彼氏?」
ソファーに座るお兄ちゃんがまた問いかける。
「うん」と頷いた。
「アイツ見たことある。確かセンターだよな?」裕ちゃんが言う。
「あれ?センターって鉄心じゃないの?」
「IH予選でうちとやったときはアイツだったぞ」
「木吉、怪我して入院してるの…」
予選の試合が、
あの、ひどい試合が頭を過る。
「…だから、今は彼がセンターやってる。もともとは違うポジションだったの」
私の話しを聞いて、二人は「ふーん」とたいして興味の無さげに返事をする。
深く掘り下げて聞かないのは、二人の優しさだろう。
それくらい私が、暗い顔をしているんだろう。
「それより、碧もお年頃なんだなー。お兄ちゃん寂しい」とお兄ちゃんがおどけた。
タイミングよく、
ピンポーンとインターホンが鳴る。