第2章 サクラ散る頃
お昼休みになって夢主(妹)ちゃんとお弁当を食べている。
教室は沖田先輩が夢主(妹)ちゃんにお箸を届けに来たことで、ちょっと騒がしくなった。
私はといえば、夢主(妹)ちゃんのお姉さんが届けにきたのではなくてちょっとよかったな…なんて、酷いことを考えたり。
あ、そうだ…土方先生に、さっき集めたノートを届けに行かなきゃいけないんだった。
夢主(妹)ちゃんにそれを伝えたら、一緒に行くって言ってくれた。
けれど、夢主(妹)ちゃんはお弁当を食べてる途中だったから、大丈夫と断って教室を出た。
今日はまだ斎藤先輩に会わないなぁ…なんて、また斎藤先輩のことを考えてしまう。
今日の授業中もずっとそうだった。
放課後は剣道部に行くから、その時会えるなぁなんて考えたら、ドキドキしてくる。
思いきり上の空で歩いていた私は、廊下を曲がる所で壁に腕をぶつけてしまって、ノートをバサバサと落としてしまった。
ああもう…私の馬鹿!
慌ててノートを拾う。
「案外そそっかしいのだな。」
頭の上から斎藤先輩の声が落ちてきた。
バッと上を向けば、少し笑った斎藤先輩がいる。
「あまりにも慌てて拾っているものだから、少し可笑しくて見物してしまった。」
うわぁ恥ずかしい。こんなところを斎藤先輩に見られるなんて。
「結構な量だな。」
斎藤先輩は、ノートを拾うのを手伝ってくれた。
私は数を確認して、立ち上がる。
「斎藤先輩ありがとうございました。」
恥ずかしくて泣きそうになりながらお礼を言った。
「礼にはおよばない。」
そう言って、私が持っていたノートの束をひょい、と取り上げてしまった。
「あの、先輩…持っていただかなくても大丈夫です!」
慌ててそう言うと、
「いいから。早く届けないと昼休みが終わる。」
斎藤先輩はそのまま職員室の方向へ歩きだしてしまった。
私は斎藤先輩についていくような状態で、職員室を目差した。