第2章 サクラ散る頃
夢主(妹)ちゃんにはちゃんと言っておこう。
そう思って、LINEの文章を作る。
・・・やっぱり電話にしよう。
大切なことだもの。
お姉さんの彼氏を私は好きになっちゃって…好きでいてもいいよね…って、なんだかすごい内容だし…何より、夢主(妹)ちゃんだから聞いてもらいたい。
「もしもーし。今日はおつかれ~。どうしたの?」
夢主(妹)ちゃんの明るい声。私はこの声が大好き。
夢主(妹)ちゃんに、聞いてもらいたいことがある、と伝えてから、深呼吸をしてゆっくりゆっくり話をした。
夢主(妹)ちゃんは、黙って私の話を聞いててくれた。
そして…言ってくれてありがとう、と言ってくれて、
「私は、千鶴のこともお姉ちゃんのことも大好きで大切だから、応援は出来ない…と思うけど…話はいつだって聞くからね。うれしかったことも、悲しいことも、私でよければ話してね。あ~…まさかの姉だもんなぁ。違う人なら全力で応援するのに…。ごめんね千鶴。」
夢主(妹)ちゃんのまっすぐな言葉がうれしくて、ちょっと泣けてきた。言って良かった。
いきなり泣き出した私に、夢主(妹)ちゃんは驚いて、あわてて謝ってきたけれど、私は、違うのうれしかったんだよって伝えて、笑った。
「千鶴が重大発表したなら、私も言う!」
いきなり夢主(妹)ちゃんはそんなことを言い出して、
「私…沖田先輩が好きになりそうです。…いや、もう好きなのか?って言葉にしたらやばい…好きかも…いや…まだわかんないけど…っていうかかっこいい!!!」
と、夢主(妹)ちゃんは言ってくれた。
私達は笑って、お互い頑張ろうね、また明日もいいことありますようにって話をして、電話を切った。
まだまだ始まったばかりの恋心。
夢主(妹)ちゃんの恋がうまくいきますように。
そして…
明日も斎藤先輩に会えますように…
と、願い事をして、ポカポカした気持ちで目をつむった。
二人の邪魔はしないから…
斎藤先輩のことを好きでいさせてください…