第2章 サクラ散る頃
お互いをあまり知らないまま…始まった関係だからなのだろうか…
未だに距離が遠く感じてしまう。
少したわいもない話をして、駅まで送った。
「一君ありがとう。」
夢主(姉)は笑顔でそう言ってくれたが、やはり寂しげだった。
苦しい。
胸の奥をえぐられているようだ。
帰り際、雪村の家の前を通りかかる。
雪村と帰った時のことを少し思い出して、気持ちが少し穏やかになった。
そういえば…妙に心地がよかったことを思い出す。
雪村の笑顔は、まるで陽だまりのようだった…
さっきまでの苦しさから逃れるように、俺は雪村との会話を思い出しながら帰路を歩いた。