第3章 もっと…
そしてシドは残っていた
オムライスを食べ終えると、
立ち上がった。
「隠れ家、来いよ。」
「えっあ、うん……」
(て、てっきりここで
そう言うことするのかと思った…)
顔を赤くして
アヤセも立ち上がる。
「何だよ、ここでやらしーこと
するかとでも思ったか?」
「えっ!!そ、そんなこと…!」
シドが笑う。
「声、裏返ってんぞ。」
「シッシドが変なこと言うから…!」
「まぁここでそう言うことしても
よかったが…」
シドが人差し指を口に当てて、
静かに扉に近づいた。
「……?」
ガチャっ!
一気に開けられた扉の向こうには
レオとアランが……
「お前らいい趣味してんな。」
「あ、いや、
これは決して変な意味はなくて…」
レオが気まずそうに取り繕う。
「シド、
俺たちタイミングを図ってたんだ。」
「タイミング?」
「ああ、これさっき渡し忘れて。」
そう言ってアランはシドに何かを渡す。
「俺たちから誕生日プレゼント。」
それは長い手提げの紙袋で、
ワインと思われるものだった。
「誕生日に男から
プレゼントもらう趣味はねぇけど、
せっかくだからもらっといてやるよ。」
「まったく素直じゃないなー。」
「うるせぇ。」
そんなことを言いながらも
シドは嬉しそうだった。
「じゃあ行くぞ、アヤセ。」
「あ、うん!」
「えっどっか行くの?
この部屋、明日の朝まで使えるけど。」
「お前が用意した部屋だろ?
隠しカメラでもあったら大変だ。」
「ったく、酷いなぁ。
最近俺、シドのために
いろいろがんばったのに
その言われよう。」
「俺じゃなくてこいつだろ。
まぁ一応礼はいっとくが。
二人ともありがとな。」
シドが珍しくそんなことを言うから、
二人とも固まってしまった。
「ほら、行くぞ。」
「うん!
二人とも、本当にありがとう!
また何かお礼するね。」
きょとんとする二人を置いて、シドと
アヤセは王宮を後にする。