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【100プリ】瞳に映して

第2章 曇りのち……


王宮に戻った瞬間、雨が振りだした。

アヤセは元気のない
足取りで自室へと向かう。

すると自室へと続く廊下で
ルイとレオが話している姿が見えた。

(何か…声かけなきゃ…
おつかれさま、とか…
ルイには、さっきはありがとう、とか……)

しかし、二人に近づきながら出てきたのは…

「う…」

ぽろぽろと頬を涙が伝う…

「アヤセちゃん!?
どうしたの!?」

「う…うぅ……」

「とりあえずこっちに…」

ルイに促され近くの使っていない部屋に
3人で入った。



一通り泣いて落ち着くと、
アヤセは事情を話した。

「なるほどねぇ。
シドがそんな怒るなんて珍しいね。」

「うん…
でも気にすることはないと思うよ。」

「なんで?」

「アイツがアイツらしくなく
イライラしてるときって、
だいたい仕事が
うまく行ってないときだから。」

ひっく…としゃくりあげながら
アヤセが返す。

「ほんと……?」

「ああ。
だからそれさえ済んでしまえば
また元のアイツに戻ると思うけどね。」

「ならタイミングが
悪かったってことだね。」

「そっか…
じゃあシドのその仕事が
落ち着くまでは何もできないのかな…
誕生日過ぎちゃうかもね…」

「アヤセちゃん、
当日の約束は取り付けてないの?」

「う…うん…
しようと思ったらこんなことに
なってしまって…」

「そっか…
シドの仕事次第だけど、
それでも誕生日のその日に
祝ってあげたいよね。」

「うん…できれば…。
でも無理は言わない。
仕事の邪魔もしたくないし…。」

レオは顎に手を当てて考え込む。

「うーん…少し探りを入れてみるか…」

「えっレオ…いいよ…
私の個人的なことのために
アランとルイも巻き込んじゃって…」

「そんな巻き込まれた二人のためにも、
そして可愛い俺たちの
プリンセスのためにも、
できる限りのことしてあげたいんだ。

と、いっても何かできる
保証も何もないから、
期待して!とも言えないけど。
まぁ俺なりに、ね。」

「うん…ありがとう…」

「よし、そうとなったら、
アヤセちゃんが
することは一つだけ。」

「え…?」

「シドのために
おいしいオムライス作りを極めること!」

「あ、うん…そうだね…」

アヤセはやっと少し微笑んだ。

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