第8章 雨と幸運
「今家族居ないから堅くならなくて良いですよ」
「は、はい。
お邪魔します」
「礼儀正しいんですね」
「そんなことないですよ!常識ですもん」
「結構なことです」
ニコッと口角を緩め、ポンポンと頭を撫でてくれた。
…これ凄い萌える…。
でも萌えてる場合じゃないんだよね。
鼻がムズムズする…くしゃみが出そう。
「寒いですよね、ちょっと待っててください」
そう言うと烈さんは足早に中に消えた。
1人ポツンと玄関に取り残された私。
「とりあえずこれ使ってください」
すぐに奥から小走りで来てくれる。
「タオルです」
「あ、ありがとうございます」
「お風呂沸かしますね」
「そんなお気遣いなく!」
「大切な役員に風邪でもひかせたら大変ですから。
星夜も荒れそうですしね」
「は、はぁ…」
「そこの突き当たりが僕の部屋です。
先に入ってて適当に過ごしててください。
すぐ行きますから」
「は、はい」