• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第30章 Suspicion


翌日…

非番だった俺は、長瀬さんの元で、住み込みで働く松本の元を尋ねた。

岡田には何も告げずに…

一人で尋ねた俺を、長瀬さんは一瞬不思議そうに首を傾げたが、松本に確認したいことを告げると、疑うことなく俺を工場奥の応接間に通してくれた。

「すぐ呼んで来ますんで」

「急にすいません…」

俺が頭を下げると、長瀬さんは「とんでもない」と頭を掻きながら部屋を出ていった。

その瞬間、俺の心臓が有り得ない速度で脈打ち始めた。

カラカラに乾いた喉を、出されたお茶で潤し、俺はフッと息を吐き出した。

その時、

「どうも…」

と、作業着姿の松本がドアを開けた。

「あの、俺に話って…?」

「ああ、取り敢えず座ってくれるかな?」

作業着に着いた埃を払い、松本が俺の目の前に座る。

それと同時に、胸のポケットに忍ばせておいた一枚の写真を、テーブルの上に置いた。

「この人に見覚えは…?」

松本が写真を手に取り、食い入るように見つめる。

「君に刑期の短縮を持ちかけたのは、この人じゃなかったか?」

どうか…
どうか違うと言ってくれ…

俺は祈る気持ちで松本の顔を見つめた。

「どう…かな…? 君の知ってる人…だったかな?」

問いかけた声が自然と震えているのが、自分でも分かった。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp