【HUNTER×HUNTER】pleats-プリーツ
第146章 146話
ピルルル
「!」
丁度会話が途切れたところで、クラピカの携帯が鳴る
きっとヒソカからのメッセージだろう
ただ、今のクラピカは旅団の死体が偽物であることを知っている
彼は携帯を確認すると、ピッとボタンを操作してポケットへとしまった。
「クラピカさん、携帯…もう一度鳴りますよ。あと数十秒くらいでセンリツさんからの連絡が来るはずです。」
「そうか、なら…少し失礼する」
電話応対の為に席を立つクラピカ
角を曲がり、後ろ姿が見えなくなったのを確認して、私は再びキルアを睨んだ。
「キルア…先に言っておくけど、旅団に賭けられた懸賞金は無くなったからね
マフィアに差し出したって、お金は手に入らないよ。」
今頃クラピカもセンリツからそのことを聞かされているだろう。
私からもっと早く伝えられたら良かったんだけど…
流石に煽るキルアをクラピカの前で非難することはできなかった。
まさかあれだけ忠告して、こうして怒って見せても、旅団の懸賞金にここまで執着するだなんて思ってなかったな…。
指摘されたキルアは、ムッとした態度を隠さずに私から目を逸らす。
「…オレもだけど、多分キルアは旅団の人が名前と一緒に居るのが心配なんじゃないかな」
ゴンは不貞腐れているキルアと私を交互に見て、ヒリついた雰囲気をフォローしてくれるけれど
原作でもキルアは懸賞金目当てで大袈裟に危険性を指摘し、クラピカを急かしていた。
そのことを私は知っている。
それに心配って建前があれば、クラピカの気持ちを利用して良い訳じゃない。
「正しく償わせる…それについては間違ってないと思うよ。
でも私を心配してくれるのなら、友達としてクラピカの気持ちにも配慮してほしいの。」
私にそう言われたキルアはとうとう黙り込み、窓の方を向いてこちらを見なくなった。
窓の外では、厚い雲に覆われている空から雨が降り始めていて、まだ明るくてもいい時間帯なのに随分と薄暗くなっている。