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【WJ】短編

第11章 【甘】とっておきのお菓子/及川徹・岩泉一


 夕方、準備も一通り終わり、後は徹の帰りを待つだけ。徹が帰ってきたらはじめちゃんに連絡してもらおうと思っていたら、ただいまと言う声とおじゃましますという声が聞こえた。徹とはじめちゃんの声だ。呼んでもらう手間が省けた。
 そして私は扉が開く瞬間を待ち構えた。


「だからそうじゃないんだってば。」
「お前ホントにグズ野郎だな。」

「Happy Halloween!」


 扉が開いた瞬間、私はクラッカーを引いた。その音に驚いたのか、徹とはじめちゃんは扉を開けたまま固まった。


「あれ?徹?はじめちゃん?」
「え?なんで遥香ちゃんがいんの?」
「ビックリした?」
「てか、え?何?俺の部屋なんか凄いことになってるけど。」
「ちょっと早いけどハロウィンパーティーしようと思って!可愛いでしょ?」
「うん、可愛いね。…じゃなくて、オバチャンは?まさか一人で来たの?」
「うん。」
「なんで?一人で東京から来るなんて危ないよ。こっちに来るまで何も無かった?大丈夫だった?遥香ちゃん俺に似て可愛いから心配だよ。」
「俺に似ては余計だろ。」
「なんで?そっくりでしょ?俺達?」


 鏡でも見てるのかというくらい私と徹はそっくりで、中学生の頃の徹の写真は、今の私そっくり。
 こないだうちでアルバムを見ていたあかねちゃんに「遥香ちゃんショートカットも似合うね。」なんて言われ、私ショートカットなんてしたことないのに、と思ってあかねちゃんが見ていた写真を覗くと、それは徹が中学生の頃の写真だった。そう、親友が間違うくらいに私たちはそっくりなのだ。小さい頃はそれが嬉しかったけど、大きくなった今となっては、男である徹とそっくりと言われても嬉しくない。というか、男の子に似ている私って女子としてどうなのか。


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