第6章 【甘】first love/財前光
「カッコ悪…。」
溜息をついて、その場に座り込んだ。俺の女って、どう考えても無理あり過ぎたわ。大学生が中坊なんか相手にする訳ないし、俺、ほんま何してんねん。そう思いながらも、さっきの男が彼氏やなくて良かったって思ってる自分がいて、なんやねん、これじゃ、まるで、
「財前君!」
肩をつかまれ、振り返ると遥香ちゃんがおった。
「財前君、ほんま足速すぎ。全然追いつかれんのやもん。」
「…なんか用ですか?」
「さっきはありがとう。絡まれてる思って助けてくれたんやろ?」
「…まあ、そうっすけど、よくよく考えたら、そういうの無縁そうっすね。声かけた後に思いましたわ。そんな物好きおらんやろって。」
「ちょっと、どういう意味よー!」
ムスッとした顔をしたと思えば、今度は突然笑い出して、
「にしても、オモロかったー!弟相手に俺の女言うんやもん、ありゃ傑作やで!中学生相手にしたら、流石に犯罪やん!」
こっちは死ぬほど恥ずかしいってのに、そんなのお構い無しに笑い続ける。やっぱ、らしくない事なんかせん方が良かったんや。
「でも、財前君、えらいかっこよかったで。」
そう言って笑った。
「爆笑してたくせによう言うわ。」
本気で言うてる訳やない。そんなの分かってんのに、その言葉が嬉しくて、にやけた顔を見られたくなくて顔を逸らした。
「それじゃあ、また明日学校でね!」
そう言って去っていった。
アカン、好きになっとる。