第6章 【甘】first love/財前光
その日からなんか交換日記を書くのがまた面倒になって、交換日記を書くのをやめた。学校に行くたびに、催促してくる遥香ちゃんもなんか色々面倒で、毎日家に忘れたで、押し通して、俺がそう言うと、「明日は忘れんとちゃんと持ってきてや。」って言って笑う。ああ、ほんまうるさい。
部活帰りに今日発売のCDを買おう思って、CDショップへと向かった。店の前でカップルがなんや揉めよって、店に入りにくい雰囲気で、別の店舗に行こう思ったら、女の方に見覚えがあって、よく見てみたら、遥香ちゃんやった。なんや、彼氏か?男の方は面倒くさそうにしよって、遥香ちゃんは声を荒らげて怒ってた。
「そんなん俺の勝手やろ!」
男の手が遥香ちゃんに伸びてくのを見て、自分でもびっくりしたけど、俺はそいつのと遥香ちゃんとの間に割って入った。
「え?財前君?」
「人の女になにしてん?」
「は?ちょ、財前君何言うて、」
「女に手あげようとするなんて最低やな。」
「ちょ、財前君、まって!」
呆気を取られポカンとしていた男は突然大声をあげて笑い出した。
「なんや、姉ちゃん、こんなちっこい彼氏おったんか!」
「弟やねん!」
そう言われて男の方を見てみれば、目元とか遥香ちゃんに似てて、全体的な雰囲気とかもそっくりやった。
「…お疲れっす。」
俺は慌ててその場を足早に去った。