白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第3章 消せない昔、消えない今(前)
「噂通り男慣れしてない感
半端ねぇのなー
トモノリこれは俺の勝…」
「おい、人の彼女に馴れ馴れしくすんな
姫凪、大丈夫か?
悪い奴じゃないけど
チャラくてさ」
先輩が友達の声を遮り
私の肩を抱いて頭を撫でる
『あ、はい…大丈夫です…』
「良かった~
あ、送ろうか?
そろそろ暗くなって来たし」
顔を覗き込んで優しい笑顔をのまんま
「黒尾達と遊ぶのは良いけど
あんまり遅くなっちゃダメだろ?
心配すんじゃん」
軽く唇を重ねて来た
『あ、ごめん…なさ…い、先輩…
てゆっか、人前…』
「トモノリで良いって言ってんのに
俺が隠してるから見えてねぇよ
こんなに真っ赤になって可愛い
送って行く…離れたくねぇし」
後ろに感じる人の気配に固まる私を
抱き締めたまま
「悪ぃ、後で合流するから
先に行って遊んでてくれ
姫凪行こう?」
先輩は友達に手を振り
歩き出した
まだ頭がパニックで
力が入らない私に
「そんなに放心されると
どうしたら良いか分かんねぇんだけど」
戸惑う声が落ちて来る