白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第7章 新たな幕開け
別にウリじゃないけどね!
てゆっか、売れるほどないから
「…予定あるの聞いちゃったんだよ
誘って断られるの凹む…じゃん」
ここでウジウジしてんだよ…。
「誘ってみねぇと
分かんねぇだろ
予定は未定なんだから」
「…そう思う?」
「思うから言ってんだ
俺ならウジウジする前に誘う。
それで無理なら
今日は諦めて
次の約束すりゃ良い」
岩ちゃんの言葉にピクリと
耳が動く
「じゃあ、電話してみようか、な…」
「おう。
飯食うなら
連絡しろ、残しとく」
「この量なら
嫌でも残りますって…
うっ…まだ塩辛い…」
「げっ、マジか…
一週間はカレーで決まりだな…」
大男が真顔で
鍋を覗くキッチンから聞こえる
不吉な会話は
聞こえないフリして
携帯を持って
自室に戻った
履歴を擦ると
小さく響くコール音
そして
〈は、はい…〉
聞きたかった声
「俺、だけど…
いま大丈夫?」
〈はい、大丈夫です
家に着いた所で…〉