Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第33章 ★君と俺の8秒間《瀬見 英太》
翌朝、目覚ましの鳴る前に目が覚めた。
『……よく、寝た…』
いつもより少し重たいまぶたを開けば、そこにはすやすやと眠る…英太?
『なんで、寝て………っあ…///』
素っ裸の英太を見た瞬間、昨日の夜の出来事がわーっと頭を駆け巡る。
『英太、朝ですよー』
「……ん、海宙か…」
覚醒しきってないのか、英太はぽやーっとしたまま、ぱちぱちとまばたきをする。
『おはよう、英太』
「はよ。って起きてすぐに海宙いるとか、幸せすぎるんだけど…」
そう言うと、英太はこれでもかというくらいに私をぎゅうと抱きしめた。
『ちょ、苦し…いっ、腰が、腰がぁっ!』
「え、あぁ、悪い…昨日は無理させちまったもんなぁ…大丈夫か?」
『いやぁ…あ、英太こそ痛くない?』
訊くと、英太はむくりと起き上がり、背中を触る。それから至って普通に言った。
「んー、別に?」
『よかったぁ』
安堵のため息を漏らしてふにゃりと笑うと、英太は私を見てニヤリと笑った。
「つかさ、海宙やっぱ誘ってる?」
『え?さ、誘ってないっ!』
英太が起きて捲れた布団。当然私も素っ裸なわけで、朝だから明るくえ丸見えで。
『やだ、英太のエッチ、ヘンタイ!』
「あんなことしてんのにか?」
『~っ、それとこれとは別なの!』
笑いを含んでいてからかってくるような英太に頬を膨らませる。全く、男子ってどうしてこう頭がピンクなんだろう。むすっとしていると、ぎゅうと抱きしめられる。
『…英太?どうし……っ!』
そして口を塞がれる。んー!っと声を出すも、英太は離れてくれない。そして頭でカウントしてぴったり8秒、英太は離れた。
「朝からどうも」
『もぉ~っ、ばか…///』
悪態をついてみるも、かわいいね、と言われれば全く意味なし。普段とのギャップに惚れたのも事実なんだよなぁ。と英太の抱擁を受け入れる私なのでした。
ピッ、笛が鳴り、静寂のコート。
ヒュッ、君がボールを上に投げる。
トッ、君が上にまるで鳥のように跳び。
ボッ、腕をしならせボールを打つ。
たった8秒、その間に、
君の一挙一動に、私は恋をした。
世界に、コートに、ただ一人、
"サーブ"を武器にする君に、
最初で最後の、恋をしたんだ。
END.