Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第11章 七夕lovers《チーム烏野》
~七夕:月島 蛍の場合~
【蒼井 side】
これは一体、どういう状況だ?
目の前には月島の整った顔、
そして後ろには体育館のヒヤリとした壁、
横には蛍から伸びる白くて細い腕。
これ、壁ドン…?
『え、月島…どした?』
「先輩が言ったんですよ」
『なんて?』
「カレシ欲しいって。さっき叫んでました」
今日は七夕。なのに隣にはそれを共に楽しむパートナーがいない。だから叫んでやったのだ。部活の休憩時間のつい数分前、大音量で。
"カレシ欲しいィィィいっ!!!"
と。
それが、どうなったら月島の壁ドン?
『えぇ、ちょっとぉ、離れてくんない…?』
「イヤです」
『え、みんな見てる、見てるんだけど!?』
「イヤです、先輩のカレシになるまでは」
………はっ?
目をぱちくりさせる私。月島の表情はというと、至って大真面目なのだ。
え、待って待って待って待って…
月島ってこんなヤツだったっけ!?
いや、つまりはね、その、
こんなストレートに言う人だったかな、と。
恋とか愛とか、どうでもいいデス的なオーラを出しときながら、なんですか、それ?
188㎝の位置から見下ろす月島と、158㎝から見上げる私。その差は30㎝。のハズなのに、いつの間にかその距離が近付いている。
「先輩、イヤなら突き飛ばしてください」
『えっ、ちょっ、まっ…!』
「良いんですか、このままで…?」
『うぇっ、あっ、その………ぅ、うん///』
私がうん、と言うのと、月島と私の唇が重なるのは、ほぼ同時だった。