Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第11章 七夕lovers《チーム烏野》
ちらりと力を見上げると、余裕の表情で私を見下ろしていた。うぅ、ウソを吐いてもすぐに見透かされそうでイヤだ…
『いやね、私も織姫と彦星みたいに好きな人と結ばれたりしないかなぁって…』
「あ、好きな人いるんだ」
へぇ、と呟いた力は、どこか寂しげだった。
「でも、あの2人みたいに結ばれるとしたら、年に1度しか会えないよ?」
『それでも良いよ。だって、その日を楽しみにして生きていけるじゃん?』
ニコリと笑って言うと、力は苦笑した。
「俺は、海宙と年に1度しか会えないのはツラいし、堪えるかな…」
『ふぅん、そっか………えっ!?』
スルーしようとして気が付いた。私と会えるなら、って力は言ったよね!?ガバッと顔を上げて力を見ると、やっちまった、と言う顔をしていた。
力の胸元を手で掴み、ゆっさゆっさと体を揺さぶる。なんとしても聞き出さなければ。
『ちょっ、どういうこと!?』
「いやっ、そのっ、あの、落ち着いて…」
ガクガクと首が前後に揺れる力。慌てて手を離すと、力は首の後ろに手を当てて、ふぅと息を吐いた。
「小さい頃から好きだったんだよ、海宙」
『うっそ…』
「ウソでこんなこと言わないでしょ」
少しだけ赤くなる力。普段は見ないから、ちょっとだけ新鮮だった。
「…んで、返事は?」
『えっ、あ…』
どうしよう、10年以上一緒にいて、今更好きでした~あはは~なんて、言えない!
言う以外に伝える方法は…これだ!
キョロキョロと周囲を見渡し、誰もいないことを確認する。それから、ちゅっと力にキスをした。
「なっ…!?///」
『これが返事、です…///』
「あー、うん…ちょっとびっくりしたかも」
でも、と力は言った。私に正面から向き合って、いつに無く真剣な顔で言った。
「これからも、よろしくお願いします」
ペコリ、と律儀にお辞儀をする力。想いが通じたことが嬉しくて、思わず抱き付いた。
頭上に輝く天の川と織姫と彦星。
2人もこんな風に会えてると良いな。
力の腕の中で、そんなことを思った。
縁下 力END.