第4章 猫王子と球技大会
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誠凛を後にし、お父さんとお母さんに見送られ京都に戻って来たのは夜中だった。寮に戻り部屋に入った途端に咽が乾いてしまった。ジュースを買いに行こうとホールに向かう。すると赤髪を見つけた。
『あれ?王子じゃん』
「…駄犬か。今日はご苦労だったな」
『100%赤司のせいだけどな!!!って、初めてじゃない?寮で会うの』
洛山の学生寮は男子寮と女子寮で別れているけど、中央のホールは繋がっている。だけど滅多にホールに行かないあたしは、会う事はなかった。
「そうだな。僕はあまりここに来ないからね」
『へぇ、あたしも2回目だよ。ここに来たのは。咽が渇いちゃって。隣座るよ~。ほら、詰めて詰めて』
「はぁ…しょうがないな。それで、テツヤはどうだった?」
『あぁ、黒子君ね。アドレス交換した』
「…は?」
『面白いからって。アイツ可愛い顔して掴めないね』
「…そうだな。昔から誰よりも分かりにくかった」
『ふーん?ま、赤司にもちゃんと友達がいたようで安心したよ』
以前友達は必要ないと言っていた赤司。だけどちゃんといるじゃないかと思って言った言葉に、なぜか赤司はムッとした。
「友達じゃない、元チームメイトだ。そろそろ施錠の時間だ。駄犬も早く帰れよ」
元チームメイト、か。きっと赤司にはその繋がりだけでも十分なんだろう。あたしも帰ろうと思い腰を上げた。すると遠くから赤司の声が聞こえた。
「明日、バスケで負けたりなんかしたらお前は忠実な僕のしもべにさせるからな」
『…明日球技大会って事、すっかり忘れてたぁぁぁぁぁ!!!』
あたしは走って女子寮に戻った。途中で赤司の笑う声が聞こえたような気がした。
そして速攻でお風呂に入り歯磨きをし、さあ寝るぞと思いスマフォでアラームをセットしようとした時、メールが来ていることに気付きフォルダを開いた。赤司からだった。
"言いそびれていたからな。おやすみ"
『…ぷっ。何だそれ、可愛いとこあるじゃんか、王子にも』
あたしはおやすみという文字と猫の画像を添付して赤司にメールを送り、眠りの世界に入った。