第4章 猫王子と球技大会
は余程暑いのか、ずっと下敷きでパタパタと仰いでいた。そして授業も聞かずに窓の外を眺めている。その様子を僕はずっと横目で見ていた。するとは今日初めてノートを取ったと思えば、それを鋏で切り、小さく折ると僕の机の上に投げてきた。
"王子、見すぎ。あたしに何か付いてる?それ見て内心プークスクスって笑ってたら、顔面ラリアットの刑ね♡ちゃんより"
見ていない!そう言うためにを見れば、口に指をあて静かにと伝え、ノートを指さしこれに書いてというようにジェスチャーで伝えてきた。もう否定するのも面倒になり、僕は別の事を書いた。そしてやり取りは続いた。
"少しは考えて行動しろ。この年の男子はさっきのような行動でも発情するんだ。もう少し女としての自覚を持て。赤司"
"えー?また説教ー?大丈夫だよ。だってあたしだよ?あ、自分で言ってて涙出て来た…それよりも王子も発情してるんだ?王子の部屋にもエロ本があったりして…(笑)"
"あるわけないだろう。それに僕は自分の家の犬に対して発情はしない。それにいくらでも女は女。分かったな。赤司"
はこういう性格だ。誰でもすぐに仲良くなる。実際に他クラスでも友達はたくさんいるようだ。よく教科書を借りに行ったり来たりしている。そしてその中の男子の中には、に好意を持っている奴もいる。バスケ部にもこのクラスにも、だ。
容姿は良い、と思う。スタイルも良い、と思う。だがどちらも中の上程度。バスケ部の部員が話していたのが聞こえたが、完璧じゃないのがまた良い、そしてあの性格なら文句はない、だそうだ。
"こっち見て。"
手紙を開くとそう書いてあった。何だろうと思いながらの方を見ると、そこには変顔をしたの顔があった。ひどく不細工だった。
「…ぷっ!」
先生「どうしたんや、赤司。何かあったか?」
「いえ、何でもありません。すみません」
下を向き笑いを我慢する。すると机をコンコンと叩かれる。まだ笑いが抜けていないながらもを見ると、びっくりした様子のがいた。何だ、と口パクで伝えると、すさまじい速さで文字を書き、手紙をよこした。