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猫王子と犬平民

第15章 猫王子と修学旅行


『先生…』


本の世界に集中していると、久しく聞いていなかったの声を聞いて、現実世界へと引き戻された。だけど、の声にはいつもの元気がない。


先生「なんやって…顔白いで!?どうしたんや!」

『ちょっと調子のってトランプしてたら酔ったっていうか…気持ち悪いって言うか…吐きそうって言うか…』

先生「はぁ!?ちょ、とりあえずここに座れ!薬飲んだか?」

『乗り物酔いとかしたことなくて、大丈夫だと思って飲んでない…』

先生「はぁ…ほんならワシがクスリ貰ってくるから、ここで待っとき。赤司、少しの間頼むわ」


担任は扉の向こうに消えてった。の顔を見ると、もともと肌が白いのに加え、顔面の血の気が引いていた。呼吸も荒く、辛そうという事がすぐに分かる。


「…大丈夫か?」

『あー…王子か。だ、だいじょうぶだいじょーぶ…』

「…大丈夫じゃないだろう。どうしてこうなるまで放っておいた」

『いや、いけるかなって…ていうか赤司、こんなとこにいたんだ…』

「あぁ…とりあえずもう喋るな」

『ん…そうするわ』


喋るスピードもいつもよりだいぶ遅い。暫くすると担任が戻って来て、に薬を飲ませた。


先生「これで暫く休めば良くなるはずや。本来ならワシが診るべきやけど、担任はいろいろドタバタするねん。せやから赤司、の事頼めるか?」

「はい」

先生「ほんなら任せたで。、辛くなったら赤司に言うんやで」

『…はい…』

先生「がワシに敬語を…こりゃ本当に重症やな。堪忍な、赤司」


担任は申し訳なさそうにこの場を後にした。こんな事を言うのは何だが、弱っているは何か可愛い。
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