• テキストサイズ

【マフィア松】Focus Me【おそ松さん】

第2章 信ずるは良し、信じないのはもっと良い


「トド松!」

落下しつつ十四松は声を上げる。
それとほぼ同時に私の立っていた足場、民家の屋根の軒が崩れた。

咄嗟に崩れていない部分を掴もうと手を伸ばすが届かない。
突然の浮遊感に内臓が浮くような気持ち悪さを感じる。
屋根の上の逃走経路は諦めて、下を見る。
態勢を整えなんとか足から着地した。

狙撃手、恐らくトド松が撃ってきたようだ。
おおよその方角と角度から位置を確認し、建物の陰に隠れる。
対物ライフルまで用意してくなんて、顔に似合わず手段を選ばない人達だ。

すぐ近くには十四松が倒れている。
どうやら背中から落ちたらしくもんどりうって転がっている。
他に瓦礫によるケガなどは見当たらない。

私は立ち上がり、射撃に気をつけながら再び走り始めた。
逃げ足には自信があるが、それと同じくらい体力の無さにも自信がある。
正直もう走りたくなかったが、まだ追っ手が来るかもしれない。
ヘトヘトの足と心肺に鞭打って進む。

トド松は撃ってこない。
建物が邪魔で撃てないのか、あるいは何か考えがあるのかもしれない。
何にせよ、人混みに入ってしまえば手を出してこないだろう。

この道を抜けたら大通り、というところまできた。
安心感から心が緩みそうになるのを抑えて走る。

突然一発の銃声が響く。
思わず足を止め、自分の体と辺りを見回すが変化はない。
数秒遅れて、人々の悲鳴が大通りから聞こえてきた。

前方にはこちらに背中を向け、白煙の上がる拳銃を掲げる影があった。
嘘でしょ、と心の中で呟いて、口に出ていたかもしれない。

銃を下ろしゆっくりと振り向いた人影は、悪戯っぽく笑う。
スーツに赤いシャツの青年、松野おそ松だった。
/ 60ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp