第26章 帰郷
「あら?澪かと思ったのに…中原さん、だっけ」
『乱菊さんわざと?ねえ、わざとなの?』
「っ、の…、離せや豊胸窒息女!!!?」
「だぁれが豊胸窒息女、よ!!!」
ドン、と乱菊さんに押し離され、ようやく開放される中也。
『中也が女の人に口悪い…何?蝶でもされないのに』
「お前の妬く基準なんなんだよマジで!!」
『中也が他の女の人の胸に揉まれた…』
これで揉んでたらビンタしてた、間違いなく。
…まあ乱菊さんってこういう人だけどさぁ。
『…おっきいお胸の感想は?どうせ心地よかったんでしょ?』
「死ぬかと思った…」
『……何、なんで恥ずかしがってもないわけ?乱菊さんだよ?この絶世の美女を前にして?挙句胸に顔揉まれてなんでそんな下心が一切ないの、ねえ?』
誰だって顔が赤くくらいなるのに、普通。
本気でげっそりしてる中也に違和感を覚える。
「なんで俺がんなもんに下心持つんだよ、アホかお前?前提条件お前であること、以上だ。証明終了だよ」
『やっぱり中也さんて頭おかしいよね…?』
「あんたそんなに澪のこと大事なのねえ…まあそれはさておき澪、隊長今丁度休憩しててね?……お昼寝中♪」
『現世の貨幣の五百円でどう?』
「採用!!!」
女性死神協会、裏事業…ブロマイドの販売。
特に冬獅郎に関しては、色々な意味で女性人気が高いため、こういう時には撮らなければならない使命にあるのだ。
「…浦原さんのブロマイドはいかが?」
『おいくらですか?』
「撮る機会が少ないから…って思ったんだけど、あんまり買う人いないから三百円なのよ〜」
『三千円ですね、了解です』
「あんたもなんだかんだ本当にぶれないわよね…?」
乱菊さんから包装されたそれをいただいて、天を仰ぐように掲げてきゃっきゃとはしゃぐ。
『喜助さんの写真〜♡♡』
「澪さん僕なんかのでいいんですか…?そんなの、強請られればいつだって撮るのに…」
『…強請るとかしたら、お仕事邪魔しちゃうかなって』
「…寧ろ癒しになりますよ?なんならカメラから作ってあげちゃいます」
『喜助さんのお手製カメラ!!?』
「いつでも…なんならカメラじゃなくても作りますよ。すぐそうやって我慢しちゃうんですから」
『じゃ、じゃあ等身大の動く中也さんフィギュアでも…』
「それはちょっと作りたくないっすねぇ…」