第26章 帰郷

｢まあ澪さんのこれは、どっちかっていうとあれが大元にあるんですよ？大きくなったらパパと結婚するんだっていうあの感じ｣

｢いいや、それだけじゃねえぞ？こいつは優しい人間が大好きだ…加えて強くて頭も良くて？蝶のこと一番に考えてて蝶のこと大好きで愛してて…って完璧じゃねえか浦原さん｣

『でも喜助さん私に嘘つくもの』

｢あ、勝ったわ｣

｢澪さんそこで落としちゃう！！？｣

恥ずかしさに中也に抱きつく力を強めればまたよしよしと撫でられた。

『うう、っ…そ、そもそも私のこと作ったのが喜助さんなんだか、らっ…と、当然のことなの…』

｢じゃああれじゃねえか、嘘つかなくてお前に愛情表現欠かさねえっつったらほら…太宰とか｣

『あの人は人として終わってるから…』

｢…じゃあトウェイン｣

『中也さんがいいの〜〜〜っっ…！！！』

トウェインさんに関しては、初対面の印象が悪すぎた挙句に中也と過ごしていた後だったからこそああだったから…どちらかというと私がなびかされる方だから、なんとも言えないのが本音だ。

なんていうか、中也レベルで紳士的だし、繊細だし向き合ってくれるし優しいし、優しいし優しいし…

『……トウェインさんにこんどお土産あげよっかな』

｢あいつ今度絞めあげる…｣

何も聞こえなかった、うん。

｢あれ？けどアタシが親なら、拒否さえすれば中原さんのところにお嫁にいかなくても…｣

『それしたら二度と喜助さんに会わないようにするね』

｢うんうん、いつでもお嫁に行きなさい♡｣

『分かってくれる喜助さんが澪大好き♡』

｢お前らほんとに仲良いな…？｣

よく言われます。

なんて軽口を言いながら、しかし中也の元からは離れない。
構ってくれなんて可愛いこと言っちゃって。

『でもね？多分中也もこんな感じだと思うの…』

やり取りに既視感しかなかったもの。
なんてきりかえすと、その場の全員があ、と声を揃えてピタリと止まる。

『あれ？…おーい、中也？……傍から見ても仲がいいってことだよ？』

｢俺すごいな？うん、俺すごい｣

『うん、すごいね中也？』

｢…そう考えたら織田ってマジで偉大だわ｣

『……ああ、そっか。あれがタイプってやつか』

｢｢……｣｣

｢おい喜助…、中也！！？おい、息しろ息！！！呼吸止まってる！！！！｣

理想的って言うならば…