第25章 収束への旅路
抱き寄せて、言い聞かせるように背中を撫でて、耳元で声を柔らかくして続けて言う。
『中也、さんの…』
「俺はお前のもんで…お前は俺のもんなんだろ。…戻ってこい、怖がらなくていいから………キスをしにくかったのはお前が怖がっていたからだ。……抱きにくかったのは、お前を痛がらせたくなかったから」
ピク、と動くからだに、狙いが当たっている手応えを感じた。
やっぱりそこか…悪いことをしたな、俺も。
不安がらなくてもいいのに…けれどお前が不安になりすぎるくらいに怖がりな奴だって、分かっていたのに。
『痛…、?』
「…焦らなくていいんだよ、ゆっくりで。……スキンシップだけが愛情表現じゃあないだろう?……心配しなくても、こんな年齢の頃なんざ、とっくに俺はお前に一途に片想いしてる時期だっつうの」
『……、キス、好き…もういっかい…ッ』
「…もういっかい?…仕方ないな…けど俺、お前から返事聞きてぇんだけど…それはお預けか?」
目を丸くしてから、蝶は唇を震わせて…それから確かに口にした。
____愛してるの、…愛して、ほしいの…
心臓を握りつぶされるかと思うくらいにその悲痛な叫びが訴えかけてくる。
足りていなかったとか、そういうのじゃない。
口にされなくて、不安だった。
恋心だなんていうものをそんな時期から抱かれていただなんて…流石の俺にも分からなかったから。
「お前、そんな時から俺のこと…?…俺も幸せもんだなぁ」
今の蝶には早すぎるはずのそのキスを…教えてやる。
どれだけ俺がお前をそう意識しないよう耐えていたか…どれだけ、男が苦手な…人間が苦手なお前にそれを意識させないようにしていたか。
教えてやるよ、足りないんなら溢れさせてやる…
ピクン、ピクン、と跳ねる身体を簡単に抱きしめて、逃げる隙を与えないように少女の口内を味わい尽くす。
それから混ざり合った唾液を全て絡めとって唇を離せば、彼女の方が俺に腕を回して抱きついてきた。
『そ、っれ…ちよ、の…ッ…♡』
「…俺の唯一無二だって自覚、あるか?…思い出した?」
『…、…好き、だったら…っ、なんで、教えてくれな…、蝶、ずっと大人になりたいって…!!!』
「子供になって欲しかったからだよ…まだ足りなさそうな顔してんなよ、心配しなくても暫く離してやらねえから」
堪能しきった頃には日が沈んでいた
