第25章 収束への旅路
『…中也さん、蝶のこといつから女の子として意識してた?』
「最初から」
『最初っていつ?』
「…お前に助けられた時…と、お前を攫いに行った時」
『………ちっちゃい子相手なのに?』
なんとか浴衣を着てもらってから夕食を摂るのだが、話題はやはりそこばかり。
なんなんだいったい、今日はやけにそこを突きやがる。
「小さいお前相手なのにだよ、文句あるか。…つうか、なんでそんなに気にしてんだよそこばっかり」
『!…別に気にしてない』
また嘘ついてやがる…いい加減俺にもバレてるって気付かねえかなこいつも。
「…箸、進んでねえけど?…食うのに抵抗があるんなら俺が食わせ…____」
蝶の手から箸を受け取ろうとしたところで、彼女の手から箸がするりと抜け落ちる。
それに暫く呆然とするのだが、驚いているのはどうやら俺よりも彼女の方であったらしい。
『……何、で…?…なんで、蝶に優しく…?』
「蝶…?おい、様子が…」
『なんで、怒んないの…?…こんな蝶じゃ、ダメなんじゃないの…中也さん、蝶のことなんで……なんで、…』
こいつ…もしかして、自分の元の身体の年齢を認識できなくなっているのか?
だから、さっきからずっと様子が…
「蝶、お前一回その能力解け!俺のことは気にしなくていいから、一回元に戻れ!!」
『!!なんで、っ!?…中也さ、ん…蝶のこといらない…?ちっちゃい蝶は必要じゃない…?……、やっぱり、子供の身体じゃダメ…、?』
「そういうことじゃなくて…っ、…蝶?お前、自分の年齢は分かってるか?今の本当の年齢…俺の年齢もだ」
『ちがうの、っ…知りたいだけで…、』
ダメだ、これじゃあまるで本当の六歳児…それどころかそれよりも下手したら幼いような。
なんでだ?
少し前までこんなこと…どこだ、どこからおかしくなった?
行為の最中はこんな様子一度も…
____蝶、子供じゃないよ…
唐突に思い出した、再会したばかりの頃の蝶の言葉。
彼女が寝ているうちに漏らしていた本音。
抱き続けていたコンプレックス。
…けど、それは解決したはずだ。
それなら、どうして今こんなタイミングで…?
「………蝶、お前俺のこと…好き?」
『!!!、…っえ、…ッ…?な、…な、っあ……なん、で中也さんが知って…!!?』
「いいから。…好きなのか?」