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第25章 収束への旅路


「蝶ちゃんが証拠まで出してくれた子の尋問なんだけれど…蝶ちゃん、体調悪いなら無理しなくていいからね?確かに君がいてくれると相手も嘘がつけないし…」

『…大丈夫です』

「そう?…じゃあ、とりあえず中也君に質問してもらうから、君はこっちの部屋で……蝶ちゃん?」

首領に連れられて拷問室へと向かっている。
先程拘束した構成員が目を覚ましたらしいとのことだ。

しかし首領からこ話もあまり聞き取れずに、ぼうっとした目で中也さんの方を見る。
すると、それに気付いた中也さんが、私の方を向いて微笑んだ。

『!!!…ッ、?』

バッと顔を背けて、火照る顔に手を当てて混乱する。
な、なんでこんなにドキドキするの?さっきまでの方がよっぽど…

考え始めたところで頭から煙をボフンッと出した。

「蝶ちゃん!!!?」

『ぁ、う…中也さん、行っちゃうの…?』

「…あんまり見るの、得意じゃねぇだろ」

『あ…、で、も……その、蝶、は…』

言いかけて、以上口にするのを躊躇った。
ダメだ、これはお仕事だから。

流石にそこを邪魔しちゃいけない…私情で邪魔しちゃ、いけない。

「………すぐに片づけて戻るさ、お前が出る幕もねえくらいにな」

くしゃりと頭を撫でてから、彼は踵を返して歩いていく。
しかし、それを無意識に阻止する私の手が、彼の外套を引いていた。

『…?…!!!ぁ、…ごめん、なさ…ぃ…』

己のみっともなさに迷惑をかける。
情けない、これだから…こんなのだから、いけないのに。

ぱっと離した手に、失望されるのを覚悟した。

「…いいんだよ、謝らなくて。…お前素直になりすぎて元に戻ってるぞ?対応が……辛くないんなら、ついてきてもいい」

『!!!…本当、に…?…いいの?邪魔じゃない…?』

「邪魔なわけあるかよ。けど、約束な?怖くなったらすぐに離れろ…見なくていいし、聞かなくていい。絶対に無理しねぇこと……後、キレて相手のこと殺さねえこと。処分はマフィアの方で下すから」

中也さんとの約束に、素直に頷いて目を丸くする。
…ついていって、いいんだ。

怒らないんだ…

すうっと頭の中に入ってきたこの感覚に拍子抜けしながらも、今度こそちゃんと彼の外套を手で引っ張る。

「……俺の手よりもそっちがいいのか?お前は」

『!…手がいい』

「上出来…ほらよ」

…優しいんだなぁ、やっぱり
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