第25章 収束への旅路
『…はよう、ございます』
「ん、おはよ…身体は?あと、頭も」
『……二日酔いきたかもしれない』
「そんな気はした…結構飲んでたからな」
少女が目を覚ましてから、口にはできなかったものの、頑張ったな、ありがとう、と撫でてやる。
『ん…、中也さ…?』
「…どうしたんだよ、そんな顔真っ赤にして」
『へ…、あ、いや……そ、の…服、着てな…ッ』
「お前に着せてっからな?」
『え、…っ!!?…っあ、…!!』
何を悟ったのか、顔を隠してしまった。
折角可愛らしいのに勿体ねぇ…これだから見ているだけでも飽きがこねぇ。
慣れるどころか余計に恥ずかしがるってどうなってんだこいつは。
「野郎の体つきなんか見たところでだろ」
『…っ、だって…中也さん、かっこいい……から…』
「…何?朝っぱらから誘ってんの?お前」
『誘って、…?』
ああ、やっぱりたまには悪くねぇな、酔ってんのも。
今の俺にはこの純真な目を向けるこいつに手を出す勇気もなければ、蝶の方も進もうとはしない。
朝だからってのもあるのだろうが。
「……まあいい、とりあえず何か作ってくるから、身体だけ冷やさねえようにして待ってろ。今日はここで朝食にするから」
『え、っ…?私作れますし、リビングに行…〜〜〜〜〜ッ、!!?…!?』
身体を起こそうとした彼女は突然体勢を崩して、またベッドに横になる。
…だから言ったのに、学習しねえなこういうのは。
「そういうことだ、絶対身体冷やすなよ?先にスープか何か持ってきてやるから」
『…、…な、にしたの中也さ、ん…こ、な…痛い、の初めて…なんですけど…っ』
「なにしたって…そりゃあそうなるだろ、流石にしすぎだ昨日は。だから言ったんだよ酒は飲まさねぇ方がいいって…痛むだろ?じっとしてろ」
『……嫌いじゃ、ない…もの…』
「!…そうか。…目玉焼きかスクランブルかオムレツ…どれがいい?」
少ししてから、不貞腐れたようにオムレツ、と小さく声が聞こえた。
知ってる、どうせそれを選ぶんだろうなって分かってて敢えて聞いたから。
『…料理しに行ったら、蝶のこと一人にしちゃうよ?いいの…?』
「…それはよろしくなさそうだなぁ…ソファーにでも横になる?」
異能でキッチンにまで移動させれば、それに少し機嫌を直したのか、蝶はコクリと小さく頷いた。