第25章 収束への旅路
「中也君ももう大人になっちゃって…本当、親らしくっていうか……親になったね」
「…親にはなってないですよ、育て主です…俺が親になってしまうと、蝶以外の誰かと結婚したみたいになるじゃないですか」
『しちゃうの…?』
「しねえよ馬鹿、生涯お前一筋だわこのやろう」
さらりと言い切ってやれば、口をパクパクさせて赤面し始める蝶。
初恋を自覚したての乙女か己は…
いや、蝶は乙女だけどな?
いくつになっても純情乙女だよお前は、おう、寧ろグッジョブ。
…煩悩だらけだな俺の脳。
「ふふ、泣き止ませないでやってくれなんて言われたの、人生で初めてだよ…あれで君が蝶ちゃんのこと泣き止ませようと宥めなんてしてたら、僕はきっと君を叱っていただろうねぇ」
「こいつはあれくらい泣いとくべきなんですよ、本来」
「最初声が聞こえた時は何事かと思ったよ…初めてじゃないかい?蝶ちゃんがあんなに泣いてたの」
『……、…ダメ…?』
「「全然大丈夫」」
口を揃えて即答した。
聞き返し方がまた何ともまあ可愛いことこの上ない…あざといよなぁこいつ。
そのあざとさがまたいい。
すごくいい。
…あああ、だから俺はまたなんでこんなことばっかり。
「それで森さん、他の奴らに出した指令は…!すみません、首領「いいよ、こんな時くらい」…すみません、つい気が緩んで」
「…うん、他の子達にはまあ、色々とお使いを頼んでね?また今日の夜にでも、誰かから連絡が来ると思うよ」
『連絡…?』
「そう……で、中也君?君、身体とか、その他諸々で何か変化は?」
「少し感覚が鋭くなったのと、己の脳内が蝶のことで埋め尽くされすぎてるくらいですかね」
「ほう、それはよかった、通常運転だね?」
この人にあしらわれる日がやって来るとは思わなかった。
いや、確かに尊敬する首領だぞ?
しかし…この人にだけはというか、この人にはというか…
『中也さん、首領にだけは言われたくないと思う…』
「蝶、お前また読心術使った?」
「あ、否定しないんだ中也君?」
『蝶、中也さんのこといっぱいいっぱい気になっちゃうの…読まれても困らないくらいに蝶の事しか考えてないんでしょう?』
え、何こいつ今すぐ食っちまっていいかな俺…
『………ち、中也さん…そう、いうのは…いつも…?』
「え……っ、あああああ!!!!?」
